たびびとが行く

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人里離れた渓谷に架かる橋の上の駅 ~ 山陰本線・保津峡駅

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鉄道大国である日本の路線網に点在する数多くの駅の中には、周囲に人里が見当たらない場所など、「なぜここに駅が?」と思わせるような、意外な場所にあるものも少なくない。今回は、そんな「秘境」とも呼ぶべき場所にある「秘境駅」の一つとして知られる、JR西日本山陰本線(嵯峨野線)・保津峡(ほづきょう)駅を紹介しよう。

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保津峡駅は、京都府京都市西京区亀岡市の境を流れる保津川(桂川)をまたぐ橋の上にある。プラットフォームのほぼ全体が橋の上にあり、ただでさえ狭いプラットフォームを囲む柵の隙間から見える渓谷の景観が、この駅を訪れる人の足をすくませる。

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駅の周辺には、登山やハイキングなどでここを訪れる人のための駐車場や、小さなバス停の他には、人の生活を感じさせるものは特に見当たらない。駅自体も無人駅とされており、時折、JR西日本の職員がやってきて、この駅の管理のための作業を行っている程度のようだ。駅舎は職員詰所と物置、待合所、自動券売機と簡易改札機を備えただけのシンプルなものだが、デザインはこの駅がある地の性格を反映して、訪れる人を和ませてくれる、瀟洒なものである。

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この駅自体は、京都市内と郊外を結ぶ路線の上にあるため、ここを通る列車の車内は、特に朝夕のラッシュ時間帯を中心に、多くの通勤・通学客で賑わう。しかし、この駅が実際に地元の人に利用されることは少ないようだ。

また、この駅には、都市部の駅では今や半ば当然のバリアフリー設備もほとんどない。しかし、駅の設備のみならず、この駅のたたずまいや、それを取り囲む自然そのものが、ここを訪れるあらゆる人に対して、およそ人であれば誰もが持つであろう「自然への畏怖」というバリアを、改めて思い起こさせようとしているかのようだ。

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