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たびびとが行く

自宅の近所から日本国内、世界まで、あらゆるところをうろついて、そこで見聞きしたものごとを、ただ延々と書き連ねるブログです。時々、より楽しく快適な旅への豆知識もご紹介。

近畿日本鉄道 吉野口駅と薬水駅

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 このブログで最初の記事として、まずは僕が住んでいる大阪からも割と近い、奈良県にある近畿日本鉄道(近鉄)吉野線吉野口駅と薬水駅をご紹介しよう。

僕はこの2つの駅を、2013年の7月1日と、その翌年の同じ日である2014年7月1日に訪れている。僕が初めてここに行ったのは、知る人ぞ知るJRの「赤券」を、発売日に吉野口駅で買うためなのであるが、その時に偶然、僕のかけがえのない友だちの一人もついてきてくれていたので、ついでだから一緒に少し足を伸ばしてみようということになり、隣の駅である薬水駅にも行ってきたというわけだ。

さて、実を言うと、この日は本来、 僕は「赤券」を、阪和線の某駅で購入するつもりであったのだが、こともあろうに、僕は大阪駅から「紀州路快速」に乗るべきところを、間違って「大和路快速」に乗ってしまったのである。そのことに気がついたのは、僕たちが乗っていた「大和路快速」が、既に天王寺駅を出発してからのこと。仕方がないから、気分をポジティヴに切り替えて、ちょっとした冒険をしてみようということになった。

「赤券」がJR和歌山線吉野口駅でも買えることは、事前の調査でわかっていたので、僕たちはとりあえず、そこへ向かうことにした。

列車を乗り換えること2回、その途中には、ちょうど七夕が近いということもあり、駅に笹が飾られ、その駅に訪れる利用客の思いが託された、たくさんの短冊がさがっていた。僕たちもそれぞれに、ちょっとした願い事を書いて、短冊を結いつけておいた。

JR和歌山線の沿線は、大消費地である京阪神地域からも近い、豊かな田園地帯でもある。僕たちが乗る和歌山線の電車の車窓からも、よく晴れた初夏の日の田園風景を楽しむことができた。
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JR和歌山線を走る電車の車両も、内装は整えられた跡が見られたが、よく使い込まれたもののようであった。後で調べてわかったのだが、この車両は旧国鉄時代に製造された車両だとのこと。つまり、僕たちが小学生だった頃に作られたものだということだ。車内では、古めかしいながらもどこか風情のあるデザインの扇風機が静かに回り、冷房の利きをよくしてくれていた。
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そうこうしているうちに、僕たちはJR吉野口駅に到着。実は、JRの吉野口駅近鉄吉野口駅は、全く同じ場所にあり、駅舎も改札口も共同のものだ。
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とりあえず僕は、今回の目的である「赤券」を駅員さんに売ってもらい、その後、友だちと一緒に、この一見ローカルな駅の構内を歩いて回った。
この駅の利用客は、確かに少ないように見えたが、それはおそらく、僕たちが訪れたのが、偶然、平日の昼間だったからであろう。駅の中では、中高生たちの姿も見られた。まだ正午前後だというのに、彼らの姿が見られたのは、おそらく学校がテスト期間中だったからであろう。

この駅には、同じ構内に、JRの列車と近鉄の列車が、交互にやってくる。その意味では、この駅はちょっとしたターミナルだ。JR和歌山線には、他に高野口駅という、南海電鉄と同じ名前の駅が同じ場所にあり、駅舎もやはり共同である。

吉野口駅では、JR西日本のIC乗車券である「ICOCA」は使えないが、近鉄ほか京阪神間の私鉄共同の「PiTaPa」は使用できるようになっている。近鉄の利用客だけがIC乗車券を使用でき、JRの利用客はそれができないというのは、不思議な感じもするのだが、そこは「大人の事情」ということで、あきらめるしかないのだろう。今後のJR西日本の健闘に期待しよう。
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吉野口駅で過ごしているうちに、いつの間にか1時間ほどが経過。そこへたまたま、吉野方面へ向かう近鉄の列車がやってきたので、せっかくだからと、一駅だけこの列車で、僕たちは足を伸ばしてみることにした。そうしてたどり着いたのが、近鉄薬水駅。

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薬水駅は、私鉄の駅とは思えないような、いかにもローカル線の典型的な無人駅。木造の簡単な屋根のついた待合ベンチや簡易トイレがあるほかには、これといって何の設備もなく、駅舎もなければ改札口もない。駅のプラットフォームの入り口には、「PiTaPa」のカードリーダーと、今時珍しい公衆電話ボックスが置かれているだけだ。
後で調べてわかったのだが、この駅は、近鉄の駅の中でも、利用客数の調査が行われている287の駅の中では、下から数えて8番目の280位の利用客数なのだとか。確かに、2013年に僕たちが訪れたときには、僕たち以外にこの駅を利用する人の姿は見られなかった。

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しかし、この薬水駅がある吉野線自体は、通勤・通学路線としてよく使われているものらしく、駅に掲げられた時刻表を見ると、列車は平日昼間でも1時間に2本くらいはあるようだった。旧国鉄時代からあるような、JRのローカル線だと、このような感じの駅では、それこそ列車が数時間に1本しか来ないというのも多いことから考えたら、この駅にしては「破格の」列車本数と言えるかもしれない。

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駅の設備は至ってシンプルとはいえ、手入れはよく行き届いており、ゴミ一つ落ちていないのみならず、待合の屋根と柱もきれいにされていて、利用客が気持ちよく使えるようになっていた。駅の周辺は、農村というよりは、むしろ全く手つかずの自然の中にぽつんとある、こぢんまりとした集落といった風情であった。この駅の周辺に、果たしてこの駅が廃止されることなく利用され続けるだけの人たちが住んでいるのかどうかは、駅からの風景ではわからなかった。ただ、わかったことといえば、この駅を訪れる人はほぼ間違いなく、この駅の雰囲気を愛することができるであろうことだけであった。それだけでも充分すぎるほどの収穫だ。

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その後、僕たちは再び吉野口駅へ戻った後、JR和歌山線和歌山駅へ向かい、その後、大阪へ戻った。梅雨時にも関わらず、雨に降られることもなく、よく晴れた初夏の日差しの下、気分の良い冒険ができ、大いに満足できた。

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吉野口駅と薬水駅の雰囲気を大いに気に入ってしまった僕は、翌年の2013年も全く同じ7月1日に、再び吉野口駅と薬水駅を訪れた。表向きの目的は「赤券」を買うことだが、本来の目的は、お気に入りの薬水駅が廃れずに残っていることを、この目で確かめることであった。

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今回は、僕は偶然にも、大学の社会人学生という身分でもあったので、幸い、JRの学生割引で、大阪から環状線奈良線和歌山線阪和線を通って、再び大阪へ戻ってくるきっぷを買うことができた。そんなわけで、吉野口駅和歌山駅でも、大手を振って途中下車することができたので、吉野口駅の改札口から外に出て、吉野口駅の周辺も少し探索することにしてみた。今回は残念ながら、昨年は同行してくれた友だちが同行できないとのことだったので、僕一人での旅となった。しかし、この年の7月1日も、前の年の同じ日と同様の快晴であったのは、全くの偶然であろうか。

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吉野口駅の周辺は、実に静かな集落で、平日昼間であっても、人の姿はちらほら見られた。駅の周囲は、吉野の山々に囲まれ、春や秋の行楽シーズンに訪れれば見ることができるであろう光景を、大いに想像させてくれた。機会があれば、季節を変えて、何度でも訪れたいと思わせてくれる駅である。

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吉野駅周辺の散策を終えた後は、前の年と同様、再び薬水駅へ。その薬水駅は、当然のこととはいえ、前の年と同様、ちゃんとそこにあり、前の年と同様、気持ちよく手入れがされていた。
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今回は敢えて、薬水駅のプラットフォームから、駅の下を走る道路へ繋がる階段を下りて、ここでも駅の周辺を散策してみることにした。
思った通りというべきか、やはり「何もない」ところにある駅であったが、そのことがこの駅の魅力を、より一層際立てているようにも思えた。そんな「駅前」には、一体のお地蔵さんがまつられていた。

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今回は偶然にも、前の年の同じ日には見られなかった、この駅の利用客の姿を、一人だけ見ることができた。それもさらに意外なことに、このようなローカル線には珍しいと思っていた、学生でも高齢者でもない、働き盛りの女性であった。
この利用者に話を伺ってみると、曰く、この駅は毎日のように通勤で利用しているらしく、その日もこれから大阪市内へ向けて通勤であるといっていた。
僕がこの人に、「大阪のような都会に住むのと、ここに住むのと、どっちがいいと思うか」と尋ねると、曰く、「ここは都会より静かで落ち着くので、ここの方が良い」とのことであった。高度経済成長期からバブル期にかけて、地方の若者が皆都会にあこがれて、大都市に集まっていたのも、今は昔の話なのであろうか。そんなことを思いながら、僕は次の吉野口駅で降りる際、そのまま近鉄吉野線のその列車で大阪市内へ向かうというその人に礼を言い、別れた。

その後僕は、JR和歌山線和歌山駅へ向かった。その途中、和歌山線の列車の車内は、やはりテスト中らしい中高生であふれかえっていた。彼らは、今通っている学校のあるふるさとのことを、どう思っているのだろうか。そして、彼らは将来も、このふるさとで、今と同じように明るい笑顔と声で、暮らし続けるのだろうか。そんなことを思いながら、次なる目的地である、和歌山電鐵の始発駅でもある、和歌山駅への列車で2時間ほど、少しばかり窮屈な思いをしながらも、しかしその賑わいを楽しみながら過ごした。