たびびとが行く

自宅の近所から日本国内、世界まで、あらゆるところをうろついて、そこで見聞きしたものごとを、ただ延々と書き連ねるブログです。時々、より楽しく快適な旅への豆知識もご紹介。

21世紀の都会の片隅に「昭和」のたたずまいを残す駅 ~ 鶴見線・国道駅

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今回は、横浜市という都会の中にありながら、それとは対照的に、独特のディープな雰囲気を醸し出していることで、知る人ぞ知る存在となっている国道駅を紹介しよう。

JR東日本のWebサイト(https://www.jreast.co.jp/estation/station/info.aspx?StationCd=681)によると、この駅が開業したのは1930(昭和5)年とあるが、伝え聞くところによると、それから80年以上を経た現在に至るまで、ここが大規模な改装が 行われたことはないという。そんな国道駅に、今回は旅先で偶然出会った、平成生まれの若い旅人と共に訪れてみることにした。彼曰く、地元の首都圏に住んでいるとのことであったが、その日は少し遅い盆休みの一日を使って、ガイドブックを片手に、散歩がてらの日帰り横浜旅行を楽しんでいるのだと言っていた。そんな彼の姿を見かけた筆者が、市内の観光について尋ねようとすると、彼もどこに行けば良いかと考えていたとのことであった。そこで、筆者がこの駅のことについて話すと、少し関心を示して、一緒についてくると言ってくれた。こうして、旅先での意外な「旅は道連れ」が実現した。

駅にたどり着いてみると、そこはやや恐怖を覚えるほどに薄暗く、ともすれば、人を寄せ付けないような雰囲気さえあった。首都圏出身の同行者の彼でさえ、横浜という都会の中にこのような駅が存在することは、全く知らなかったという。

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この駅は、横浜という都会の中にありながら、鶴見線の他の駅と同様、駅員の配置がない無人駅である。我々が訪れた時に見かけた、それを知らないらしい一般の利用者は、そのことに戸惑っている様子であったため、筆者が駅への入場の仕方を伝えた。今回の旅に同行してくれた彼も同様に、交通運賃を決済するためのICカード"Suica"を、どのように使えば良いのかがわからないと語った。数え切れないほどの無人駅を利用したことがあるとは言え、ここ横浜からは遠く離れたところに住んでいる筆者が、よもや地元の人にその使い方を指南することになろうとは思わなかった。

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高架下に残る店舗の看板は古いものばかりで、いかにも「昭和」の雰囲気を我々に感じさせてくれる。しかし、それらの店舗のほとんどは、現在では営業されていないようであった。

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駅の出口の目の前には、いかにも「昭和」の雰囲気を色濃く残す、やきとり屋がある。2015年の時点においてもここで営業を続ける店舗は、どうやらここだけのようだ。この店が営業する夕方には、今もこの店には多くの客が一杯やりに来るという。

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駅の周辺は、都会の中の下町といった風で、小さな工場や住宅が所狭しと建ち並ぶ。ここに住む人たちにとって、この独特の雰囲気を持つ駅も、ごく普通の日常生活の一部なのであろう。

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筆者と同様、しきりにスマホのカメラを向けていた同行者の彼の目には、ともすれば今は平成27年ではなく、昭和90年かとも錯覚させそうになるこの駅のたたずまいが、どう映ったのだろうか?

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