たびびとが行く

自宅の近所から日本国内、世界まで、あらゆるところをうろついて、そこで見聞きしたものごとを、ただ延々と書き連ねるブログです。時々、より楽しく快適な旅への豆知識もご紹介。

「孤高の新幹線」500系新幹線電車

知る人ぞ知るJR西日本500系新幹線電車は、営業鉄道車両としては、目下世界最高速の性能を誇るものである。しかし、当初はこの華々しい記録を誇 らしく、超特急「のぞみ」号として山陽新幹線を走っていたこの車両も、現在は時折「こだま」号として、主に山陽新幹線沿線の比較的短距離の旅客輸送を担う ものとなってしまった。 f:id:kuromiyahara:20150212153404j:plain

とはいえ、この車両の洗練された外観は、今なお新幹線ファンを魅了し続けており、この車両の記憶を、記録と共に残そうと、カメラを手に、わざわざこの車両が使用される「こだま」号に乗車しに来るファンも少なくない。かくいう筆者も、そんなファンの一人であるので、今回、西明石から岡山までの、30分程度という短い区間と時間ではあるが、乗車してみることにした。

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もちろん、この車両の「世界最速営業車両」のタイトルは、現在においても他の形式に奪われてはいないし、また、この車両の性能上の寿命も、まだ随分先のことである。それにも関わらず、この車両は、その性能がゆえに、この車両そのものの運行にいくつかの課題をもたらしてしまったため、その性能を発揮できないでいるという、まさに「孤高の新幹線」である。

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そのような地位に甘んじるに至った理由の一つが、その性能と引き替えに、客室内の「見かけ上の」広さが維持できなくなったことである。それが、この500系新幹線電車による超特急「のぞみ」号の乗客の不評を買ってしまった。そのことは、ここに掲げた写真の1つが示すように、座席上部の荷物置きスペースには、スーツケースが置きづらいことからも覗える。

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筆者が乗車した、この500系「こだま」号に偶然乗り合わせていた、これから倉敷へ向かうという、若いドイツ人男性の一人旅の観光客は、日本の新幹線について「大変すばらしいシステムだ」と評価し、筆者からの「この500系新幹線は、座席の上に荷物が置けないほど内部が狭く、押さえつけられているように感じないか」との問いに対しても、「そんなことはない、至って普通だ」と、特に気にしている様子もなく答えてくれた。

車内では、お父さんに連れられた子どもが、車窓の外にカメラを向けながら、この新幹線に乗ることを楽しんでいる様子が、とても印象深く記憶に残った。筆者にとっての500系新幹線電車の印象は、そのデザインのみならず、偶然乗り合わせた、外国からの一人旅の若者からの言葉と、子どもの表情にも凝縮されたように思えた。

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